PROGRAM
入局・見学希望者へ

放射線科の魅力
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01
放射線科医というキャリア
― 医療現場が今、あなたを必要としています現在、日本では放射線科医が深刻に不足しており、これは診断医・治療医の両方に当てはまります。医療の質と安全を維持するためにも、若手医師の参入が強く求められている分野です。
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放射線診断医の現状とニーズ
放射線診断専門医は全国で約6,500人。一方で、必要数は1万人以上と推定されており、大きなギャップがあります。特に地方や中小病院では画像診断の“空白地帯”が生じています。
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放射線治療医の現状とニーズ
放射線治療専門医は約1,200人。一方必要数はその2倍以上(2,500人超)とされており、がん拠点病院でも常勤1名のみ、あるいは不在という施設も存在します。欧米諸国ではがん患者の約50〜60%が放射線治療を受けているのに対し、日本では25〜30%程度にとどまります。放射線治療は、がん治療の三本柱(手術・薬物療法・放射線)の一角を担いますが、人材不足により本来届くべき治療が届かない現実があります。
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未来をつくる力に
放射線診断・治療のいずれの領域でも、高い専門性を持った医師の存在が不可欠です。この分野を志すあなたの選択が、日本の医療の質を支える大きな力になります。
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02
全身を診るジェネラリスト
― 放射線科医という俯瞰のプロフェッショナル放射線科医は、脳から骨まで、臓器の一つひとつを画像で“診る”専門家です。あらゆる診療科が私たちの読影を必要としています。すなわち放射線科医は、すべての科に関わる“全身を診るジェネラリスト”です。病態が複雑なとき、迷ったとき、各科の医師がまず頼るのが画像。だからこそ、広い医学的知識と臨床的視点、そして画像から本質を見抜く力が求められます。さらに、CT・MRI・超音波・核医学といったさまざまなモダリティを使い分けながら、常に最新の医学知識・技術にもアップデートされ続ける必要があります。広く、深く。放射線科医は「ジェネラリスト」でありながら、各領域の専門家と対等に議論できる“知の中枢”として、医療チームの中核を担います。
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03
最先端の医療技術を使いこなす
― 放射線科という知的フロンティア放射線科は、医学とテクノロジーの交差点にある分野です。CT、MRI、核医学、PET、超音波、画像処理ワークステーション、そしてAIや画像ガイド下治療まで、最先端の医療機器を自在に操る力が求められます。しかし技術はあくまで手段。何を使い、どう診断・治療に結びつけるかを判断するのは、放射線科医の臨床的な知見と経験です。放射線診断に加え、放射線治療やIVRにおいても、3D画像・照射計画・線量分布・AI支援など、極めて高度な技術が日々使われています。近年、AIの活用が注目されていますが、導入は想定ほど進んでいません。実装には多くの課題があり、現場のニーズを理解する放射線科医こそが、AIの活用と進化を主導すべき存在です。AIはあくまで補助であり、判断の責任は常に医師にあります。全身を診る広い視野 × 深い専門性 × 技術の実装力。放射線科は、”未来の医療を切り拓く“進化の現場””です。
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04
働きやすさ
緊張感の続く最先端の現場だからこそ、「オンとオフの切り替え」がとても大切です。私たちは、心身のバランスを保ちつつ、高いパフォーマンスを発揮できる職場環境づくりを目指しています。
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自分のリズムで働ける柔軟な環境
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スケジュール管理がしやすい
集中する時間帯と、ほどよく自分のペースを保てる時間帯がメリハリとして明確。研修や学びの計画もしやすいスタイルです。
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遠隔画像診断
放射線科診断専門医を取得すると、遠隔画像診断による仕事が可能になります。これは、インターネットを介して院外から読影を行うスタイルで、場所にとらわれない柔軟な働き方を実現します。
自宅や外出先、さらには留学先からでも読影業務が行えるため、-
子育てや介護と両立しやすい
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学位取得や研究との並行が可能
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地方に暮らしながら全国の読影に携われる
といったメリットがあります。
すでに当科では、海外留学中の医師が遠隔画像診断を行い、研究・収入を両立している実績もあります。遠隔画像診断は、放射線科医だからこそ選べる専門性を活かした”柔軟なキャリア”の一つです。専門医を取得することで、診断技術に磨きをかけながら、自分らしい働き方を築く可能性が大きく広がります。 -
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チームが支え合う温かい雰囲気
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みんなで知識を共有
カンファレンスを通して読影内容や治療方針をチームで共有。忙しい時は助け合いながら効率よく進めています。
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キャリアを続けやすい仕組み
特に子育てなどでブランクがあっても、復職しやすい環境づくりを重視。みんなで支え合ってキャリアを維持できるシステムです。
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ちゃんと休める制度も整っています
医師としてベストな状態で働くには、休むことも大切。
以下のような制度を整備しています。-
有給休暇の取得推奨
午前休・午後休もOK。家族との時間を大切にできます。
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産前産後・育児休暇の実績あり
男性医師も育児休暇が取得しやすい雰囲気です。
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夏季休暇など福利厚生も充実
リフレッシュできる体制も、“きちんと休む”文化の一環として大切にしています。
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仕事内容
私たち佐賀大学医学部放射線医学教室では、「めざす医療」の実現に向けて、専門性の高い3つの分野「画像診断・画像下治療(IVR)・放射線治療」が密接に連携し、診療・教育・研究のすべてにおいて質の高い取り組みを行っています。
各分野の専門医が協力し合いながら、それぞれの強みを最大限に活かし、幅広い疾患に対応できる体制を構築。先進的な技術と深い知見を融合させ、放射線医学の発展はもちろん、地域医療の質向上にも大きく貢献しています。
未来の医療を担う人材の育成にも力を注ぎ、学生や若手医師が安心して学び、挑戦できる環境づくりにも取り組んでいます。
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画像診断Diagnostic Imaging
病の“本質”を見抜き、治療の未来を描くストラテジスト
放射線診断医は、CT、MRI、核医学、超音波といった最先端の医療機器を駆使し、画像という情報の海から本質を読み解く“臨床のストラテジスト”です。病変の検出や質的診断を通じて、患者さんの「現在の状態」と「これからの道筋」を可視化します。
画像診断は、単なる“読み取り”ではありません。多様な画像所見に向き合い、思考を巡らせ、診断に至る過程そのものが、治療方針を左右する重要な意思決定に直結します。知識はもちろん、観察力、論理的思考力、豊かな臨床的洞察力が求められます。医療チームの中核として活躍する、知的でやりがいのある専門職――それが放射線診断医です。
佐賀大学放射線科には、全身各領域に精通したエキスパートが在籍しており、各自の専門性を活かして、質の高い診断を提供しています。
私たちの主な業務は、CTやMRIなどの画像読影です。撮影自体は診療放射線技師が行いますが、診断に必要な「情報の設計図」を描くのは放射線科医です。依頼内容を読み取り、適切な撮像プロトコルを組み立てて指示し、撮影された画像から病変の有無や性質を詳細に評価・診断し、診断レポートを作成します。当科は歴史的にも画像診断に力を注いできた伝統があり、診断能力には確かな自信を持っています。
さらに、各診療科のカンファレンスに参加し、診療方針の検討に積極的に関わることも重要な役割です。佐賀大学では診療科間の垣根が低く、日常的な意見交換やフィードバックが非常にスムーズです。こうした風通しの良いチーム医療の環境が、より的確で迅速な診断、そして質の高い医療の実現につながっています。
当科は、歴史的にも画像診断に力を注いできた背景があり、診断能力には確かな自信があります。 -
画像下治療(IVR)Interventional Radiology
正確に、迅速に、低侵襲で命を救う技術
IVR(Interventional Radiology:画像下治療)は、X線透視、CT、超音波などの画像をリアルタイムで活用しながら、身体への負担を最小限に抑えて行う低侵襲治療です。がんに対する局所治療、動脈瘤の血管内治療、出血に対する止血術、膿瘍のドレナージ、生検など、幅広い疾患に対応可能で、現代医療において欠かせない治療法のひとつです。
佐賀大学放射線科のIVRグループは、県内の救急医療を支える中核として、日常診療から緊急治療まで、迅速かつ確実な対応を行っています。特に外傷などの出血性疾患に対する緊急IVRは、地域の救命医療において極めて重要な役割を担っています。
画像情報に基づいた的確な治療方針の決定、診断医との密接な連携、そして状況に応じた最適な手技の選択――IVRの成功は、正確な診断力と即応性、高度な技術力に支えられています。
佐賀大学のIVRは、これらすべてを兼ね備えた放射線医学の最前線として、地域医療に貢献し続けています。 -
放射線治療Radiation Therapy
高精度な技術で、がん治療の最前線を支える
放射線治療は、手術・薬物療法と並ぶがん治療の三本柱のひとつであり、根治を目指す治療から緩和ケアまで、あらゆるステージに対応可能な治療法です。佐賀大学放射線治療部門では、高精度な画像情報に基づき、がんの位置・大きさ・周囲臓器との関係を正確に評価した上で、最適な線量と照射範囲を設計し、安全かつ効果的な放射線治療を実践しています。佐賀大学医学部附属病院は、佐賀県内でも数少ない放射線治療実施施設として、多様ながんに対して個別化された放射線治療を提供し、地域の中核的な治療拠点としての役割を担っています。
また、佐賀県に設置された重粒子線治療施設「HIMAT(佐賀県重粒子線がん治療センター)」にも医師を派遣し、先進的ながん治療にも積極的に貢献しています。X線治療と重粒子線治療は互いに補完し合う関係にあり、当科はその橋渡し役として、患者さん一人ひとりに最適な放射線治療を届けることを目指しています。放射線治療は、「画像で診る力」と「精密な照射技術」を融合させた、放射線科医ならではの専門領域です。佐賀大学放射線治療部門では、診断から治療まで一貫して携わることができる放射線医学の醍醐味を実感しながら、日々の診療に取り組んでいます。
研修プログラム


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01専攻医研修
入局後の最初の3年間は、当教室の専門研修プログラムにおいて放射線専攻医としての研修を行います。この段階で、放射線診断、IVR(画像下治療)、放射線治療における放射線科医としての基礎的な知識と技術を習得します。
本プログラムは、佐賀大学医学部附属病院放射線科を基幹施設とし、佐賀県医療センター好生館、高木病院、済生会唐津病院、織田病院、白石共立病院、田主丸中央病院を連携施設とする放射線科専門研修プログラムです。
放射線科専門医を取得するには、日本医学放射線学会が定める症例数の最低基準を満たし、認定試験に合格する必要があります。 当教室では、この症例数基準を十分に満たす症例が確保されており、質・量ともに充実した研修環境を提供しています。 -
02専門研修
(サブスペシャリティ研修)放射線科専門医試験に合格した後は、診断または治療の分野に特化した実践的なスキルをさらに深める2年間の専門研修に進みます。この段階では、診断専門医・治療専門医のいずれを目指すかを明確にし、その選択に応じた研修プログラムを履修します。より高度な診断力や治療技術、そして専門領域における実践力を磨く、大切なステップです。この研修を経て、放射線科診断専門医あるいは放射線治療専門医の試験に合格することで、一人前の放射線科医としての道が開かれます。
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03大学院進学・医学博士取得
希望者には積極的に大学院への進学も推奨しています。当教室では、専門研修と並行して臨床大学院に入学し、大学病院を中心に研修を続けながら臨床研究に取り組むことが可能です。これにより、放射線科専門医資格と医学博士(学位)を同時に目指すことができます。また、より基礎的な研究に関心がある場合には、基礎系の大学院への進学も選択肢の一つとして開かれています。
入局のご案内
佐賀大学放射線科への入局に
興味をお持ちの皆さまへ
佐賀大学医学部放射線科では、出身大学を問わず、志をともにする仲間を広く歓迎しています。佐賀大学出身の方はもちろん、他大学を卒業され佐賀にご縁のある方、あるいはこれまで縁はなくとも佐賀での暮らしや当科の診療・研究に魅力を感じてくださる方――いずれの方も、ぜひ一度お話を聞かせてください。
佐賀は、福岡・久留米・長崎・熊本といった主要都市へのアクセスに優れており、九州全体のハブとしての利便性を備えています。豊かな自然と程よい都市機能が共存する、落ち着いた生活環境の中で、充実した医療・研究活動が可能です。
私たちとともに、放射線医学の発展に貢献し、未来を切り拓いていきませんか。ご興味をお持ちの方は、どうぞお気軽にお問い合わせください。